●White Rose●



冴子からの依頼で一人、デカい組織を潰しに出向き、ようやくカタをつけてアパートに戻ってみれば。

そこに出迎えたのは愛しいアイツの顔ではなく、いつになく顔面蒼白の、向かいの金髪ヤローのそれだった。
「すまん、リョウ……カオリがっ!!」
「………………」



ミックの話によると俺の留守中、香は迷子の子猫を探す依頼を請けたのだとか。
それくらいなら一人でも……と思ったのが、そもそもの甘い考えで。
その猫の飼い主がヤクザの情婦で、組から抜けるための切り札として用意した
組織のトップシークレットを仕込んだマイクロチップを、猫の首輪に隠し込んでいたのだ。

簡単だと思った迷子の猫探しが、いつの間にやら、危ない橋を渡るコトになっちまったらしい。



「誕生日のお祝いをするんだから……早く帰って来てよ?」
その言葉に負けたと言うわけじゃぁないが、この日までにケリをつけなければと思ったのも事実で。
しかし……そう言った当の本人が居ねぇんじゃ、話にならんだろ。
まったく……しょうのないヤツ。



ミックや海坊主、冴子までがその手腕を持って調べ上げ、
ようやく見つけたヤツラのアジトまで、猛スピードで車を走らせる。

「すまん、リョウ………オレたちがついていながら、カオリをこんな目に遭わせちまって……」
「……………気にすんな」
「しかし……カオリの身に、もしものコトが遭ったら……」
「…………大丈夫だ」
「……しかしだな、リョウ?万が一ってコトが……」
ガタガタとうるさいミックに、思わず舌打ちして。
ヤツもハッとして、口を噤んだ。



「…………すまん……」
「……香なら、大丈夫だ。だって俺、まだ誕生日プレゼント、貰ってねーからな」
「…………?」
「3月26日だろ?今日」
「………あ、あぁ……」
それがどうした、何だって今、この時に……そういう顔のミックに苦笑する。



「生きてお互いの誕生日を過ごす……それが誕生日プレゼント。俺と香と……そう、約束したんだ」
「…………リョウ………」
「だから大丈夫。アイツは無事に戻って来るさ」



フッと笑みを浮かべながら。
そのクセ、ヤツに見えないようにそっとした唇を噛み締めて、ハンドルを握り直した。




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