●wish●



「香、冴羽さん、よく来てくれたわね。今日はお世話になった分、遠慮無く楽しんでって?」




それまで談話していたミスターに失礼して、会場に現れた香と冴羽さんに声を掛けた。
今日は我がエリ・キタハラの、一年間のご苦労さんを兼ねたクリスマスパーティー。
会場は、ちょっとしたショーなら出来るくらいのスペースの、本社ビルの7階8階の吹き抜けフロア。
中央を飾る大きなクリスマスツリーは、青と白とを貴重に、シンプルかつ華やかに仕立てた。
メインテーブルに並ぶワインやお料理も、食器やアクセントとして
各テーブルに飾られたフラワーアレンジメントの細かいところまでも。

全て私のデザインとセンスとを駆使して飾り立てた自信作よ。
世界のエリ・キタハラともなれば、こんなところで手を抜いた…なんて、言われたくないしね?



そして我がエリ・キタハラの全関係者と、日頃お世話になってるモデルや雑誌編集者、
生地を扱う取引先や同じデザイン仲間なんかを、ざっと200人ほどご招待。
それで、楽しいコトは人数が多い方がなお楽しいというコトで、
いつもピンチの時に頼みにしてる香と、いつもぶっちょう面の冴羽さんをご招待したワケ。
もちろんデザイン関係者ばかりのトコロに参加させるわけだから、
いつもより数段グレードアップしたクリスマスパーティー用にデザインした衣装を、
招待状と一緒に送りつけてやったけどねv



そんなワケで、今日の香はクリスマスをイメージした、真っ赤なドレス。
ストンとしたデザインは、あまり身体のラインを強調するものじゃ無いけれど。
前から見たら普通のそれは、バックラインを腰元までグイと引いて。
真っ白で綺麗な背中を思う存分誇示したデザインにしたわ。
恥ずかしがり屋の香は、一緒に入れておいた共布のストールで背中を隠してはいるけど。
それも、親友たる私の計算の内よ。
だって……ふふっ。
そうしておかないと、眉間に深い皺を刻む隣に立つ彼女のパートナーが、
「こんなパーティー欠席する!」って言うに決まってるでしょ?
その予防線……ってワケ♪



そんな冴羽さんの方は、何てことは無い普通のスーツ。
まぁ多少パーティー用にと、光沢のある上質の素材にしてあるけど……
この人の場合、ガタイが通常のサイズ以上でしょ?
何もかもが規格外で、いじり甲斐がありすぎて、困っちゃったわ。
それで結局、パーティー用の黒のスーツという、無難なセンに落ち着いたってワケ。



“ちゃんとしっかり着てちょうだい!!”というメッセージを添えたのに、その襟元も袖口も、相変わらずな着崩しで。
でも……悔しいけど、それすらもサマになっていて。
これだけの均整の取れた体格を、周囲の人が見逃すはずは無いじゃない?
今だって……ホラ。
モデルの女の子たちやモデルクラブのスカウトマンが、目をキラキラさせて彼を見てるわ。
もちろん彼はそんなコト、歯牙にも掛けてないんでしょうけどね。



「香?今年一年、色々とモデルの仕事頼んじゃって、悪かったわね。その分今日は、思い切り楽しんでちょうだい?
お料理もホテルの一流シェフを連れてきてるから、すっごく美味しいってみんなに評判なのv」
「本当?うわぁ~楽しみ♪でも絵梨子…そんなに気をつかわないで?
ウチだって万年金欠のトコロを助けてもらってるんだから、お世話になってるのはコッチの方よ」
「ううん、いいのよ、香。それから…冴羽さん?今日の招待客はみんな、私の大事な取引先やお友達なんですからね。
もっこりだけは、謹んでちょうだいっ?!」
「……ふわぁ~い……」



こんな所、来たくも無かった……という呆れ顔。
そんな冴羽さんの頭を香がグイと掴んで、フロアに押し付けるように「ゴメンね、絵梨子」と苦笑い。
ふふ……まったく、このコンビはクリスマスも変らないわね。



「じゃぁリョウちゃん、ちょっくらもっこり美女と踊ってくるね~んっ♪」
「あ……こら、リョウっ?!」
言ってるそばから、冴羽さんは中央のダンスフロアに躍り出て。
近くにいたモデルの一人の手を取って踊りだした。
美丈夫な彼にモデルの彼女も、まんざらでもなさそうな表情で。
冴羽さんも、いつものもっこりの仮面を押し込めて、
スマートな紳士面で踊っているのがどうにも似合わなくて、何だか笑えてしまった。



「…………」
……と、ココにそれを気に食わない瞳で凝視する彼女が一人。
もう……冴羽さんたら。
こんなに着飾った香を放っておいて、よその女の子と踊るなんて。
それでも、愛しい彼女とクリスマス……なのかしら?



しどろもどろの香からようやく聞き出した、湖畔で伝えられた、彼の想いが詰まった言葉。
それ以来、二人の関係は何も変わってはいないというけれど。
それでも私をはじめとした周囲の友人たちは、言葉には出来ない、
何となく変化している二人の間に流れる空気を感じていた。




だから今日、この日。
このパーティーをきっかけに、何か二人の関係を一歩前へと進ませたいと思って招待したのよ。
折角のクリスマス……女の子なら誰だって、好きな人と過ごしたいはずだものね。
それなのに、冴羽さんったらっっっ!!!



「か、香?このお料理、食べてみて?すっごく美味しいのよ。シェフのイチ押しなんですって」
「え…?あぁ、うん……ありがと」
彼を追っていた視線をお皿の上にもった料理に移したものの、その声は心ココにあらずという感じで。
もぐもぐと、“ただ食べ物を租借してます”……という表情。
まったく、こんな予定じゃなかったのに……まいったなぁ……。



曲が変るたびに、冴羽さん目当ての女の子たちが周囲に群れ集い、パートナーを変えてゆく。
それを楽しむかのように、冴羽さんは紳士面を崩そうとはせず、スマートな男っぷり。
あの顔を、どうして惚れた彼女の前で見せられないのか……やはり冴羽さんて、わからない男だわっ。



……と、気がつけば、隣りで適当に相槌を打ちながら会食を楽しんでいたはずの香が黙り込んでいた。
「……?」と振り向けば、当の香はアルコールで目を据わらせていて、焦点がまるで合っちゃいない。
美味しいワインだからと勧めたのが、以外にアルコール度数の高いものだというコト……うっかり忘れてたわ。
「…………か、香……?」
「……ん~……絵梨子ぉ?ふふふ…今日は楽しいわねぇ~」



さっきまで切なそうに歪んでいた目元がピンクに染まり。
お酒のせいか、ほんのりと笑う顔までもが妙に色っぽい。
普段は少年ぽさを残した中性的なイメージばかりが先に立つけど、
こんなにドキリとさせるほどの“女”の顔もするのね……と、こんな時だけど新たな発見をしてしまい。

せっかくのこのチャンスを逃すものかと、慌てて頭の中のメモリに保存した。
だってこんな表情(かお)も出せるんなら、次回からはもっと違ったテイストの服だってOKってコトでしょ?
それはデザイナーとしては、大事なコトだものねv



そうこうしてる内にも、香はお酒で火照った頬を手を団扇にして、パタパタと扇ぎ出した。
「ん~……暑い。ねぇ絵梨子ぉ?この会場のエアコン、ちょっと効き過ぎてなぁい?」
トロンとした目元で聞いてくるけど、その実、火照った身体がだるいのか、何だか口調まで不機嫌そう。
「そ、そんなコト無いわよ。普通よ、普通」
「ん~…そうかなぁ……人が多いから、その熱気かな?」
「えぇ、そうじゃない。そうよ、きっとっ!!」
「そっかぁ……それじゃぁ、仕方ないわよね」
ヨシ、と声を掛けて、香はやおら、肩に掛けていたストールをシュルリと抜き取った。



ざわ………っ
と、会場のあちこちから一斉に、細かな歓声とため息がこぼれる。
ケタ外れなマスクと体格を持つ冴羽さんと、素人なのに一流モデルと堂々と渡り合える香。
そんな二人は、会場に入って来た時から周囲の注目の的だった。
その冴羽さんはモデルの女の子と舞踏会よろしくダンス踊り、周囲のため息を引き出している。
一方の香は、お料理とグラスとを重ねながら、一見壁の花に見えるけど。
でもその実、会場にいる男たちの視線は、みな香に向けられていたのよね。



ただでさえ注目を浴びているその香が、肩から背中を覆っていたストールを抜き取って。
ケガひとつ、シミひとつ無い。
今まで冴羽さんが必死になって護ってきたであろう、真っ白な剥き出しなその背中を、惜し気も無く晒したんですもの。
そりゃぁ会場の男たちだって、思わず息を飲むでしょうよ。
ううん、私がデザインしたこのドレスで、普段より一層女っぷりが上がった
香の姿に見惚れない男なんて、男じゃぁ無いわっ?!




自慢の親友が私のデザインしたドレスで注目の的になるのは、とても気分がよかった。

……と、そこにひとつだけ、鋭いナイフのような視線が突き刺さった。
ふと振り向けば、そこには今日何人目かの女の子と華麗なステップを踏みながら、鋭く冷たい視線をよこしてくる冴羽さん。
あっちゃぁ~……この厄介な人のコト、うっかり忘れてたわ☆
手は優しく女の子の肩と腰を抱き、軽やかな曲の流れに、これっぽっちも狂わない足裁きなのに。
視線だけは、気配だけは常にココ……香へと、ストレートすぎるほど真っ直ぐに向けられていた。



……と、周囲に群がっていた男たちが、いかにも古典的な手法……
ジャンケンで、誰が香に声を掛けるかと争っている。

当の本人はそんなコト我関せずと、「んふふ…このお料理、ホントにおいしv」
と、三色のゼリーを寄せたテリーヌを頬張ってる真っ最中。

まったく……自分の魅力に、これほどまでに気づかないってのも珍しいわよ?
まぁそれは、冴羽さんが長いコトひどいセリフを言ってきたコトにある…って、噂で聞いたけどね。



そんな苦笑とも取れるため息をこぼしている内、ケーキに群がる蟻の如くにいた男たちは、
その古典的手法でようやく最後の栄冠を勝ち取る者が決まるようだった。

「ヨシッッッ!!!」
一人の男が小さくガッツポーズをすると共に、周囲の男たちからは悔しさと羨望の雑ざったため息がこぼれた。
そして「ふふ…ん」とその男が襟元をただし、額に掛かった髪を軽く撫で付けて。
コチラへ……香の方へと歩き出す。



あら……これじゃぁ、ダメよ。
今日のパーティーは、香と冴羽さんの仲をどうにかしよう…ってコンセプトなんだから、部外者はお断り。
予定に入ってない人は、舞台に立たないで欲しいわ?
私が香の相手役に選んだ男性(ひと)、冴羽さんは………と、中央のダンスフロアに視線をくれた瞬間。
「おい、いいかげん、飲み過ぎだぞ?」
と、低い男の声が掛かった。



見ればいつの間にか、冴羽さんは私の直ぐ横に立っていて。
お料理を取ろうとテーブルに向かう、香の背後というその立ち位置は、
周囲の視線から香の背を隠す、絶好の場所だった。
ケタ違いにガタイのいい冴羽さんの大きな背中に、香はすっぽりと納まって。
ふいにあたら美女を攫われた幸運のラッキーボーイは、
声を掛けようとしたその手を伸ばしたままの情けない姿で固まっている。




「あ、リョウ~vvv」
「リョウ~じゃ、ねぇよ。絵梨子さん、コイツが酒に弱いの、知ってんだろ?何だってこんなになるまで飲ませてんだよ」
「あ、あら、私のせいじゃないわよ?香が“美味しい美味しい”って、勝手にグラスを重ねて……」
いかにも不機嫌そうな視線と口調に、知らず自分の立場を正当化する私。
ゴメンね、香。だって冴羽さんを怒らせると怖いのは、重々承知の上なんですものっっっ!!!
「……ったく。こんなに酔っ払っちまって、連れて帰る俺の身にもなってくれよなぁ~」
チラと香を見つめ、深いため息をこぼす。
でも、その視線は……まなざしは、とても温かく優しいものだった。



……そう。
視線で人を射竦めることも、もしかしたら殺すことも出来るかもしれないというCITY HUNTER、冴羽リョウ。
そんな怖いトコロを、間近く見たコトは無いのだけど。
でも、そこまで恐れられているほどのこの男が、こんな表情を見せるってコトを、最近知った。
それはもちろん、目の前にいる彼女……香限定なんだけどね。



でもでも、彼を昔から知る友人たちに言わせれば。
“リョウをあんな風に変えたのはカオリだよ”………とか。
そうよね、もっこりさえ抑えておけば、見た目はバッチリなナイスガイ。
でもその心の内は、誰にも触れられないように、覗かれないようにと、固い鎧で覆われてる。
でも……でもその鎧を解かしたのが、何を隠そう、この香。
だから彼にとって、香は何物にも変えがたい……きっと、彼自身の命をも差し出しても守りたい存在なんだわ。



そんなに大事なモノのくせに、未だ、周囲に“コレ”と宣言出来ない彼。
その歯がゆさが二人の魅力と言っては何だけど……でもやっぱり、親友としては、香に幸せになってもらいたいのよ。
香の輝くばかりの、とびきりの笑顔が見たいのよ。
だから冴羽さん、香を泣かせないでちょうだい?
世界中の美女にもっこりしても構わないけど、誰よりも香が大事だと宣言してくれない……?
無理だとわかっているものの、そう願わずにはいられなくて。
そしてその結果が……今日のこの、クリスマスパーティーだった。



でも……そんなお節介は、無用だったみたいね?
見れば香の背にベタリと張り付くかのようにして、その白い背をひた隠し。
周囲の男たちの射るような鋭い嫉妬と羨望のまなざしを、その広く逞しい背中に一身に受けている。
そしてその顔はといえば、ニヤリ……と、余裕綽々の表情。
まるで周囲の視線を背中に浴びることを楽しむかのように……嬉しがってるようにも見えた。



そう……これは、めったに見せるコトの無い、彼の嫉妬心と独占欲の表れ。
これだけ魅力的な香は自分のものだと……誰にも見せない、ただ自分一人のものだと。
言葉にしなくても、その背中がその顔が、そう語っている。
ねぇ……そういうトコロ、どうして普段、香に見せてやらないの?
そうすれば香だって、あやふやなあなたの心を疑ったり、不安がらずに済むというのに……。



……と、そんな視線を読み取ったのか、冴羽さんがこちらを向いてニヤリと笑う。
「絵梨子さん?コイツ、もうダメだわ。ココまで酔っちまったら、もうあとは寝るだけ。
あとしばらくしたら、グースカと鼾かきながら寝ちまうぜ?それでもイイかな……?」
「え…っ?!そ、それは困るわ。だって今日ココに招待した方々の中には、
財界人とか外国の大使なんかもいらっしゃって……っ!!」

「じゃぁ、決まり……だな。今日はもう、コイツ連れて帰るわ」



そう言うが早いが、未だフラフラとする香の腕からストールを取り上げて。
香の肩から背中からを覆うように、優しく包み込んだ。
その時……これぞCITY HUNTERとも言うべき鋭い視線を、未だ周囲に群がる男たちにくれてやってたけど。
でもそれは……ただの独占欲の強い、一人の男のそれだったわ?
そして「じゃぁ……」との一言を残し、香の腰に手を回して、ズカズカと会場出口の方へと歩いて行く。
「あ……ちょ、ちょっと待ってよ、冴羽さ~んっ?!」



慌てて追いかけて、地下駐車場から今、彼の愛車が発進しようとするところを捕まえた。
「ちょっ……ちょっと待ってよ、冴羽さん!!」
「何だよ……未だ何か用か?香を見せモンにして、もう十分目的は果たしただろ?」
……ぐっ……あれだけ考えた計画が、み、見透かされてるっっ//////
その不機嫌そうな顔には、得意の愛想笑いという名の営業スマイルも役には立たないようで。
降参……とばかりに、肩をすくめた。



「はいはい、おっしゃるとおりです。すみませんでした☆それでね?えっとぉ…コレ。
今日のお料理の美味しいトコ、チョイスしたヤツなの。
これで万年金欠生活のあなたたちも、安心して年が越せるでしょぅ?」

「……………」
「遠慮しないで。毎回毎回、“今月もピンチなのよ~”って叫んでる香への、
私からのほんのクリスマスプレゼントよv」




一流シェフのお料理に、ひとつひとつ、すべて私が厳しく
チェックを入れたものばかりなんだから……マズイモノは無いはずよ?

それに“男の依頼は請けない”からと、この年末もピーピーだって、この間、香が嘆いてたしね。
ホントにホントに、香も手のかかる男に惚れたモンだわ?
そんな呆れまじりの笑みを浮かべながら、傍目にも驚くような、大きな大きな紙袋を運転席の窓に押し込んだ。



「クリスマスプレゼント……ね。まぁ、ありがたく頂いときますか。じゃぁ俺には、何か無いワケ?」
ニヤリ……と意地の悪い微笑み。 
まったく……スマートな紳士面かと思えば、こんな子供みたいな意地悪な顔もする。
まだまだ冴羽さんて人が読めないわ。
そんなミステリアスなトコロに、香は惚れちゃったのかしらね…ふふっ……v



くすくすと笑う私に、冴羽さんがいぶかしげな顔をくれる。

「そうね……冴羽さんには、もうあげたと思うけど……?」
「んぁ……?何が?俺は何も貰っちゃいないぜ?」
キョトンとした顔の冴羽さんに、ふふん……と、精一杯大人ぶった笑みを浮かべて言ってやった。
「冴羽さんへのプレゼントはね……今日の香よ。私のデザインしたドレスで、すっごくキレイだったでしょ?
それに……ふふっ、あなたが他の男に嫉妬するなんてね。
そんな風に思うくらいなら、自分の気持ち、もっと香に見せてあげなさい?」



とたん、男らしい太い眉の片方をクイと上げて。
軽く肩をすくめて、おどけた笑みをよこしてくる。
「………ま、今日のところはそーゆーコトにしといてやるよ。んじゃぁ、これで」
そう言って、ニヤリと楽しそうな笑みをよこして車を発進させた。
でも……地下の駐車場にそのタイヤが軋みを利かせるその瞬間。
チラと助手席の香に目をくれて……そして幸せそうに微笑んだのは。
それは特別に、見なかったコトにしておいてあげましょうか。



いつも意地っ張りで素直じゃなくて、どうしようもなくワガママな女好きだけど。
それでも香を、私の一番の親友を、誰よりも大事にしてくれている。
その命に代えても香を護り、共に生きていこうと、その手を携えてくれている。
そんな冴羽さんの隠れた優しさと、何より深く熱い愛情とを知ってるから……。
だから今日、聖夜といわれるクリスマスくらいは、見逃してあげるわ。



でも……私って、元来おしゃべりなのよね。
いつまでこの約束が守れるかどうかわからないから。
ねぇ……冴羽さん?
やっぱり来年からは、もう少し素直になったらどうかしら……。



冷え込んだ聖夜に負けないほどの熱い二人の残した排気ガスに、ケホンとひとつ、咳払いをこぼしながら。
そんな二人の、二人らしい幸せなクリスマスに思いをはせて。
ふふふとひとつ、ウインクを投げてやった。 



Merry X‘mas and A Happy New Year !!




END    2006.12.24